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消防設備士の受験資格と合格率は?受験の申し込みから免状の申請までご紹介

消防設備士は人気の国家試験です。消防設備士には「甲種」と「乙種」の2種類があり、乙種なら消防設備の点検と整備をおこなえ、甲種なら点検と整備に加えて工事もおこなえます。

消防設備と言われてパッと思い描くのが「消火器」だと思います。その他にもスプリンクラーや消火栓などさまざまな消火設備があり、それぞれを取り扱うために消防設備士の資格も細分化されています。

消防設備士の中でも一番人気が「乙種第6類」です。この乙種第6類があれば消火器の点検と整備がおこなえます。たくさんある消防設備の中でも消火器の需要がもっとも高いんです。

消防設備士の試験概要とは

消防設備士

消防設備士

試験概要

種類 甲種
(特類)
甲種
(第1類・第2類・第3類・第4類・第5類)
乙種
(第1類・第2類・第3類・第4類・第5類・第6類・第7類)
受験資格 あり なし
試験形式 マークシート・記述
試験時間 165分 195分 105分
合格ライン 各科目ともに40%以上の得点、
かつ全体で60%以上の得点
【筆記試験】
各科目ともに40%以上の得点、
かつ全体で60%以上の得点
【実技試験】
60%以上の得点
試験日 各都道府県により実施日・回数がバラバラ
受験料 5,700円 3,800円

消防設備士の資格はかなりたくさんの区分に分けられます。

甲種には「特類」「第1類」「第2類」「第3類」「第4類」「第5類」の6種類、乙種には「第1類」「第2類」「第3類」「第4類」「第5類」「第6類」「第7類」の7種類で、合計13種類もの資格があります。

消防設備士でも保有している免状の種類によって取り扱える消防設備が制限されます。乙種では点検と整備しかおこなう事ができないですが、さらに工事もおこなえる甲種が上位資格となります。

区分が少し複雑なんですが、消防設備士の資格は、乙種にはない甲種の「特類」、甲種にはない乙種の「第6類」「第7類」の区分があります。

乙種の第6類では「消火器」を取り扱い、第7類では「漏電火災警報器」を取り扱います。この2つはメーカーからの既製品を設置しているだけなので工事の必要はありません。なので点検と整備だけをおこなう乙種の資格だけで良いという訳です。

そして甲種の特類というのは「特殊消防用設備」を取り扱う際に必要になります。

特殊消防用設備とはシステム系の制御回路などの機能を用いた消防設備で、取り扱う際には工事が必要となります。ですから甲種の資格にのみ「特類」が区分されています。

試験は全都道府県で実施されていますが、各都道府県によって1年の試験回数はバラバラです。とはいえ他の試験と比べると実施回数は多いので一度落ちても再挑戦しやすい試験です。

試験時間は甲種(特類)が「2時間45分」、甲種(特類以外)が「3時間15分」、乙種が「1時間45分」で、受験料は甲種が「5,700円」、乙種が「3,800円」です。

消防設備士の難易度と合格率

合格率

種類 甲特 甲1 甲2 甲3 甲4 甲5
2020年 24.6 31.2 33.6 36.5 38.0 35.6
2019年 21.3 26.3 36.2 38.3 33.6 34.1
2018年 23.9 27.5 35.6 39.0 32.4 35.2
2017年 24.7 28.4 38.8 34.3 30.7 37.8
2016年 16.4 24.6 32.8 31.6 33.2 36.7
種類 乙1 乙2 乙3 乙4 乙5 乙6 乙7
2020年 29.9 40.1 36.5 37.2 40.8 42.5 58.2
2019年 26.3 37.3 27.5 33.0 35.9 38.3 57.4
2018年 31.4 35.3 35.8 32.4 39.1 40.0 58.7
2017年 30.8 36.6 29.9 32.4 42.5 37.9 59.1
2016年 28.7 35.0 27.9 32.5 46.6 37.8 58.6

消防設備士の甲種特類は筆記試験のみでマークシート形式です。特類以外の甲種と乙種に関しては、筆記試験をマークシート形式でおこない、実技試験を記述形式でおこないます。

特類以外の甲種と乙種の試験でおこなわれる実技試験はペーパーテストです。実際に作業をおこなうという試験ではなく、記述形式で解答する事になります。

甲種特類の合格ラインは、各科目で4割以上を得点し、さらに全体の6割以上の得点です。

特類以外の甲種と乙種の合格ラインは、筆記試験が各科目で4割以上を得点し、さらに全体の6割以上の得点、そして実技試験が6割以上の得点です。

例えば乙種の場合、筆記試験に「消防関係法令」「基礎的知識」「構造・機能・整備」の3科目があります。「消防関係法令」「基礎的知識」で60%以上を得点していても、「構造・機能・整備」の得点が40%に満たないと不合格となります。

2020年の合格率は、甲特が「24.6%」、甲1が「31.2%」、甲2が「33.6%」、甲3が「36.5%」、甲4が「38.0%」、甲5が「35.6%」、乙1が「29.9%」、乙2が「40.1%」、乙3が「36.5%」、乙4が「37.2%」、乙5が「40.8%」、乙6が「42.5%」、乙7が「58.2%」です。

若干バラつきはありますが、難易度は甲種も乙種も「普通」といったところです。

勉強時間の目安は甲種が「100時間」、乙種が「60時間」くらいです。記述問題もあるので毎日コツコツと暗記の勉強をおこなう必要があります。

消防設備士の受験資格

消防設備士の乙種に関しては受験資格はありません。受験資格が必要なのは甲種のみです。

特類以外の甲種を受けるためには、保有する国家資格や実務経験によるものと、学歴によるものがあります。また、保有する国家資格によっては試験の一部免除もあります。

甲種(第1類~第5類)

【国家資格等による受験資格】

  • 受験する類以外の甲種消防設備士免状の交付を受けている者
  • 乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上、工事整備対象設備等の整備(消防法17条の5の規定に基づく政令で定められたもの)の経験を有する者
  • 技術士法第4条第1項による技術士第2次試験に合格された者
  • 電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者
  • 電気工事士法施行規則による旧電気工事技術者検定合格証明書の所持者で電気工事士免状の交付を受けているとみなされる者
  • 電気事業法第44条第1項に規定する第1種、第2種又は第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者
  • 消防用設備等の工事の補助者として、5年以上の実務経験を有する者
  • 専門学校卒業程度検定試験規程による専門学校卒業程度検定試験の機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する部門の試験に合格された者
  • 建設業法第27条の規定による管工事施工管理の種目に係わる1級又は2級の技術検定に合格された者
  • 教育職員免許法により、高等学校の工業の教科について普通免許状を有する者(旧教員免許令による教員免許状所有者で、教職員免許法施行法第1条により工業の教科について教員免許状を有するとみなされた者を含みます。)
  • 電波法第41条の規定により無線従事者資格(アマチュア無線技士を除く。)の免許を受けている者
  • 建築士法第2条に規定する1級建築士又は2級建築士
  • 職業能力開発促進法第62条(旧職業訓練法第66条)の規定による配管の職種に係わる1級又は2級の試験に合格された者(1級又は2級配管技能士)
  • ガス事業法第32条の規定によるガス主任技術者免状の交付を受けている者(第4類消防設備士の受験に限る。)
  • 水道法第25条の5の規定による給水装置工事主任技術者免状の交付を受けている者
  • 水道法第25条の5(平成9年4月1日施行)制定以前の地者公共団体の水道条例又はこれに基づく規定による給水責任技術者(給水装置技術者その他類似の名称のものも同一の資格と見なされます。)の資格を有する者
  • 消防行政に関わる事務のうち、消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験を有する者(消防機関又は市町村役場等の行政機関の職員が対象となります。)
  • 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行前(昭和41年4月21日以前)において、消防用設備等の工事について3年以上の実務経験を有する者
  • 昭和41年10月1日前の東京都火災予防条例による消防設備士の者
甲種(特類)
  • 甲種第1類から第3類までのいずれか1つと、甲種第4類・甲種第5類の計3種類以上の免状交付を受けている者

特類以外の甲種にはかなりたくさんの受験資格が用意されています。実務経験のない方でも電気工事士の免状さえあれば特類以外の甲種を受験する事が可能です。

ここでは「国家資格等による受験資格」のみご紹介させて頂きますので、このほかの「学歴による受験資格」や、試験の一部免除が適応される国家資格については消防試験研究センターの「受験案内」をご確認ください。

消防設備士の試験内容

乙種(第1類~第7類)
  • 消防関係法令
  • 基礎的知識
  • 構造・機能・整備
  • 鑑別(実技試験)

【第1類】
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備

【第2類】
泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

【第3類】
不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

【第4類】
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備

【第5類】
金属製避難はしご、救助袋、緩降機

【第6類】
消火器

【第7類】
漏電火災警報器

甲種(第1類~第5類)
  • 消防関係法令
  • 基礎的知識
  • 消防用設備等の構造・機能・工事・整備
  • 鑑別・製図(実技試験)

【第1類】
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備

【第2類】
泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

【第3類】
不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

【第4類】
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備

【第5類】
金属製避難はしご、救助袋、緩降機

甲種(特類)
  • 消防関係法令
  • 火災及び防火
  • 工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備

特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等)

消防設備士の試験申し込み

消防設備士の試験を申し込む方法には、インターネット上で申し込む「電子申請」と願書などに必要事項を記入して封筒で送る「書面申請」の2種類があります。

書面申請に必要な願書は消防署や消防試験研究センターで配布されています。あとは大きな書店などにも願書を置いていますので、公式サイトに記載の願書配布場所をご確認ください。

  • 消防設備士試験受験願書
  • 郵便振替払込受付証明書
  • 既得免状のコピー(既に消防設備士の免状を取得している場合)
  • 免除の資格を証明する書類(試験の一部免除を受ける場合)
  • 受験資格を証明する書類(甲種を受験の場合)

書面申請の場合は上記の書類が必要です。受験手数料は郵便局で支払い、「郵便振替払込受付証明書」を受け取ります。そして願書に郵便振替払込受付証明書を貼付します。

消防設備士の試験は、第4類と第7類の組み合わせのみ複数受験が可能です。第4類は甲種でも乙種でも構いません。もし複数受験を利用するなら、電子申請では申し込む事ができないので書面申請をおこないます。

願書を入手するのが手間だという方には電子申請がオススメです。電子申請の場合は、受験手数料をクレジットカード・コンビニ決済・ペイジーからお好きな方法で支払う事ができます。

消防設備士の免状の申請

免状というのは消防設備士の認定証の事で、車の免許証のようなカードタイプのものです。消防設備士は業務をおこなう際、免状を携帯しなければいけません。試験に合格したら早めに申請しておきましょう。

免状の申請に必要な書類や封筒は試験の日にもらう事ができます。

  • 合格通知書
  • 申請書
  • 免状送付用封筒(404円切手貼り付け、郵便番号・住所・氏名を記入)
  • 免状交付手数料(2,900円)
  • 既得免状(既に消防設備士の免状を取得している場合)

申請に必要なものは上記のものです。合格発表後に合否の通知が届くんですが、合格の場合はハガキの左部分が合格通知書、右部分が免状の申請書になっています。

ハガキは合格通知書と申請書を切り離さないようにしましょう。そして免状を送ってもらうための封筒もこちらで用意します。封筒にはあらかじめ404円分の切手も貼り付けておきます。

免状交付手数料2,900円の支払い方法は各都道府県によってさまざまです。ほとんどの地域で「収入証紙」が必要になりますが、申し込みの際はお住いの地域の支払い方法をご確認ください。

ちなみに大阪の場合はコンビニで手数料を納付する事ができます。そうすると「大阪府手数料納付済証(大阪府行政事務申請手続用)」が発行されるのでそちらを申請書に貼り付けます。

消防設備士の仕事内容

消防設備士は消防設備(消火栓・スプリンクラー・消火器・火災警報器など)の点検や整備、工事をおこないます。消防設備士でないとこれらの消防設備は取り扱う事ができません。

勤める会社にもよりますが、消防設備士として活躍するなら資格はひとつではなく数種類取得しておきましょう。甲種は工事もおこなえて幅が広がりますが、乙6の消火器も大事です。

さらには消防設備士の中で資格を増やすだけじゃなく、電気工事士など他の資格もあわせて取得していると作業の幅がグッと広がります。

例えば、甲種の資格保有者が消防設備の点検で不具合を見つければ、取替え工事などをおこなう必要があります。その際に電気が絡む工事をおこなうのであれば電気工事士の資格が必要になってきます。

クライアントとしても、ひとりの人間が点検・整備・工事を一貫しておこなってくれるというのは安心ですし、企業としても業務の幅が広いダブルライセンス保有者を重宝しています。

これとは逆に電気工事士が消防設備士の資格を現場で活かしていたりもします。

消防設備士はビル・工場・病院・スーパーマーケットなどなど、いたる所で活躍されていて需要が高い仕事です。そして他業種でも活かすことのできる人気の資格です。

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