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ボイラー技士の試験内容とは?受験の申し込み・免許の申請と就職先の仕事内容

国家資格であるボイラー技士に合格して免状を取得すれば、専門的な知識や技術の保有者としてボイラーの取り扱い作業を独占的におこなう事ができます。

そもそもボイラーというものがわかりにくいんですが、火気・高温ガス・電気を使って蒸気や温水を作り、さらにその蒸気や温水を他の設備に供給する装置がボイラーです。

なんとなく工場とかで使われているイメージだと思います。実際、化学工場や食品工場や発電所などでも使いますし、身近なところでは給湯器・加湿器・床暖房にも利用されています。

ボイラー技士の試験概要とは

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

試験概要

種類 特級 一級 二級
受験資格 あり なし
試験形式 記述
マークシート
マークシート
試験時間 240分 180分
合格ライン 各科目ともに4割以上の得点、
かつ総合計で6割以上の得点
試験日 1年に1回 1年に7回 1年に12回(毎月)
受験料 8,800円

ボイラー技士には「特級ボイラー技士」「一級ボイラー技士」「二級ボイラー技士」の資格があります。

二級ボイラー技士になればすべてのボイラーを取り扱う事は可能ですが、ボイラー取扱作業主任者になる際には特級・一級・二級によってボイラーの種類が制限されています。

二級ボイラー技士は伝熱面積が25㎡未満のボイラー、一級ボイラー技士は伝熱面積が500㎡未満のボイラー、特級ボイラー技士になればすべてのボイラーにおいて取扱作業主任者となる事が可能です。

二級ボイラー技士は受験資格がないので誰でも受験できますが、一級と特級に関しては受験資格があります。

二級の免許があれば一級を受験する事ができ、一級の免許があれば特級を受験する事ができます。ただし、一級と特級の免許を取得するためには実務経験が必要なので注意してください。

そして二級ボイラー技士も試験に合格するだけでは免許を取得する事ができません。ボイラー実技講習を受ける事が免許を申請するための条件となっています。

二級ボイラー技士の試験は毎月おこなわれ、一級ボイラー技士は1年に7回、特級ボイラー技士は1年に1回おこなわれています。ただし、試験は平日におこなわれますので仕事を休んで受験しなければいけません。

試験時間は二級が「3時間」、一級と特級は「4時間」とかなりの長丁場となります。

受験手数料は各級ともに8,800円です。あと気を付けないといけない事が、試験は全都道府県でおこなっていないので、お住まいの地域によっては泊りがけで受験する事にもなります。

ボイラー技士の難易度と合格率

合格率

種類 特級 一級 二級
2022年 24.0% 45.0% 51.0%
2021年 21.0% 48.5% 53.4%
2020年 29.1% 50.9% 58.4%
2019年 30.3% 52.5% 50.8%
2018年 25.7% 58.2% 55.8%
2017年 34.5% 59.4% 57.7%
2016年 19.0% 60.7% 58.5%

ボイラー技士の試験は各級ともマークシート形式でおこなわれ、特級のみ記述問題もあります。合格ラインは各科目で4割以上を得点し、さらに全体の6割以上の得点が必要です。

二級ボイラー技士の場合でしたら、「ボイラーの構造に関する知識」「ボイラーの取扱いに関する知識」「燃料及び燃焼に関する知識」「関係法令」の4科目からそれぞれ10問出題されます。

なので各科目で4問以上を正解し、その上で合計40問の内の24問を正解できれば合格ラインに達する事ができます。1科目でも正解が3点以下になると不合格になりますので、各科目とも平均した知識が必要になります。

2022年の合格率は、特級が「24.0%」、一級が「45.0%」、二級が「51.0%」です。

特級は「やや難しい」、一級と二級は「やや易しい」といったレベルです。年によっては一級の方が二級よりも合格率が高くなる事もあるくらいです。

勉強時間の目安は特級が「180時間」、一級・二級が「60時間」くらいです。二級と一級に関してはコツコツと1ヶ月くらいの勉強で合格できるレベルです。

まずは二級ボイラー技士の免許を取得する事になりますが、試験だけではなくボイラー実技講習も受けなければいけないという点がネックにもなります。

試験日は各級ともに平日におこなわれるんですが、このボイラー実技講習も平日におこなわれます。しかも3日間ビッシリと勉強する事になるので、仕事を調整して3日間の予定を確保しなければいけません。

さらにボイラー実技講習の受講料も2万円ほどかかりますので、簡単に取得できる資格ではないです。

ボイラー技士の受験資格

二級ボイラー技士には受験資格がありませんので誰でも受験する事が可能です。ただし、一級と特級には受験資格がありますので注意してください。

一級
  • 二級ボイラー技士免許を受けた者
  • 学校教育法による大学(短期大学を含む。)、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校を卒業し、その後1年以上の実地修習を経た者
  • 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者又は専門職大学前期課程を修了し、その後1年以上の実地修習を経た者
  • 省庁大学校を卒業(修了)し、その後1年以上の実地修習を経た者
  • 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得し、その後1年以上の実地修習を経た者
  • 指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以後に修了し、その後1年以上の実地修習を経た者
  • エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、1年以上の実地修習を経た者
  • 海技士(機関1、2、3級)免許を受けた者
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者
  • 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者
特級
  • 一級ボイラー技士免許を受けた者
  • 学校教育法による大学(短期大学を含む。)又は高等専門学校を卒業し、その後2年以上の実地修習を経た者
  • 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者又は専門職大学前期課程を修了し、その後2年以上の実地修習を経た者
  • 省庁大学校を卒業(修了)し、その後2年以上の実地修習を経た者
  • 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得し、その後2年以上の実地修習を経た者
  • 指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以後に修了し、その後2年以上の実地修習を経た者
  • エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、2年以上の実地修習を経た者
  • 海技士(機関1、2級)免許を受けた者
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者

二級ボイラー技士の免許があれば一級を受験する事は可能です。ただし、一級の試験に合格しても実務経験がないと一級の免許を申請する事はできません。

一級の免許を申請するための実務経験とは、二級の免許取得後、2年以上ボイラー(小規模ボイラー及び小型ボイラーを除く)を取り扱った経験がある者、もしくは1年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者です。

おなじく特級にも免許申請のために実務経験が必要です。それは一級の免許取得後、5年以上ボイラー(小規模ボイラー及び小型ボイラーを除く)を取り扱った経験がある者、もしくは3年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者です。

ボイラー技士の試験内容

ボイラー技士の試験科目は各級とも同じです。二級では基本的な知識が必要となり、一級・特級ともなれば同じ科目でもより深掘りした知識を身に付けなければいけません。

さらに特級の試験ではその難易度から科目免除があります。試験で2科目しか合格できなかった場合、向こう2年間は合格した科目は免除となり、不合格だった2科目のみ受験します。

二級
  • ボイラーの構造に関する知識(10問)
  • ボイラーの取扱いに関する知識(10問)
  • 燃料及び燃焼に関する知識(10問)
  • 関係法令(10問)

試験は4科目まとめて3時間おこなわれます。

一級
  • ボイラーの構造に関する知識(10問)
  • ボイラーの取扱いに関する知識(10問)
  • 燃料及び燃焼に関する知識(10問)
  • 関係法令(10問)

試験は4科目まとめて4時間おこなわれます。

特級
  • ボイラーの構造に関する知識(6問)
  • ボイラーの取扱いに関する知識(6問)
  • 燃料及び燃焼に関する知識(6問)
  • 関係法令(6問)

試験は1科目1時間ずつ実施され、合計で4時間おこなわれます。

特級の試験のみ1科目ずつおこなわれます。午前に2科目、午後に2科目の試験を受けますので1日がかりの試験となります。

特級の科目免除についてもう少しお話をすると、要は3年間の間に4科目に受かる事ができれば合格です。3年間ですべて合格できなかった場合には、1年目に合格した科目の免除は無くなり再受験しなければいけません。

ボイラー技士の試験申し込み

ボイラー技士の試験を申し込むためにまずは願書を手に入れなければいけません。

願書は郵送してもらうように請求するか、各地域の安全衛生技術センターもしくは日本ボイラー協会の窓口へ直接取りに行く事になります。

願書を請求するには、「労働安全衛生法に基づく免許試験」のページをご確認の上、下記2点を同封して各地域の安全衛生技術センターへ郵送で申し込みます。

  • 請求する願書の種類と部数を明記したメモ
  • 切手を貼り付けた返信用封筒(角型2号封筒 縦34cm、横24cmの大きさ)

例えば二級ボイラー技士の願書を1部請求する場合、返信用封筒に210円分の切手を貼り付けたものと、「二級ボイラー技士 1部」と記入したメモを送ればOKです。

願書はすぐに送られてきますので、必要書類も用意して申請書を作成していきます。

  • 証明写真(30mm × 24mm)
  • 振替払込受付証明書
  • 本人確認書類(住民票、健康保険証、自動車免許証など)のコピー

必要書類は、証明写真・受験手数料を金融機関で支払った際に受け取る振替払込受付証明書・自動車免許証のコピーです。自動車免許証をお持ちでない場合は、住民票や健康保険証の写しが必要です。

ボイラー技士の受験申請はオンラインに対応していませんので、願書を取り寄せて申請書を作成しなければいけません。ちょっと郵送のラリーが面倒ですね(笑)。

ボイラー技士の免許の申請

免許というのはボイラー技士の認定証です。ボイラーの取り扱い作業をおこなうには免許を取得しておかなければいけませんので、早めに免許を申請しておきましょう。

二級ボイラー技士の免許を申請する場合、試験の合格通知と実技講習修了証の2点が必要です。この2点には有効期限がないので、書類が揃った時点でいつでも申請する事ができます。

  • 免許申請書
  • 免許試験合格通知書
  • 実技講習修了証(二級のみ)
  • 実務経験従事証明書(一級・特級)
  • 証明写真(30mm × 24mm)
  • 収入印紙(1,500円)
  • 免許証送付用封筒(404円切手貼り付け・住所などの記入なし)

申請に必要なものは上記のものです。免許の申請書は、試験会場で配布していますので貰って帰って保管しておきましょう。申請書が手元に無い方は労働局や労働基準監督署などでも入手する事ができます。

免許には自動車免許のように写真も表示されますので、その部分に使用する写真を用意します。そして、免許を送ってもらうための返信用封筒には切手を貼り付けておきます。

早ければ申請してから1ヶ月ほどで免許が届けられますが、申請が集中する時期などは2~3ヶ月かかる事もあるそうです。

ボイラー技士の仕事内容

ボイラーは火気や高温ガスなど取り扱うため、不具合が生じると大事故を招く危険な設備です。なので、正しく操作するには専門的な知識のあるボイラー技士が必要になります。

ボイラーの正しい運用はもちろん、メンテナンスや点検もしっかりとおこないます。ベテランのボイラー技士は、目視・匂い・音・振動・熱気など五感を研ぎ澄まして管理されています。

ボイラー技士の就職先は下記のようなものがあります。

  • ビルメンテナンス
  • 各施設内のボイラー管理
  • 建設会社

ビルメンテナンス(ビル管理会社)では、オフィスビルから商業施設などさまざまな場所で使用されるボイラーを管理します。都市部などビルが多い地域においてボイラー技士の需要はかなり高いです。

また二級ボイラー技士はビルメン業界では人気の資格で、ビルメン4点セットと呼ばれる4資格のひとつとされています。

各施設内のボイラー管理というのは、工場・病院・ホテルなどの施設でボイラーの運用・メンテナンスをおこなうボイラー技士の事です。空調設備や給湯設備などを利用するためにはボイラーを管理するボイラー技士が必要になります。

そして、ボイラーを設置する施設を建設する場合には、建設時にボイラー技士が立ち会う必要があります。それぞれの現場にもよりますが、建設会社に在籍しているボイラー技士もしくは依頼を受けて派遣されるボイラー技士がいます。

ビルや施設はどんどん増えていきますが、ボイラー技士の人口は減少傾向にあるようです。需要が減る事はないかと思いますが、今後ボイラーは地球の環境問題の取り組みに影響を受けそうな状態です。

そのために地球環境にやさしいボイラーの開発が進んで、従来のボイラーとは仕様が変わっていくんじゃないかとも言われています。

ただ、新しい技術が導入されたとしても今ある知識が無駄になる事はありません。ボイラーは必要な設備なので、従来の知識と新たな技術を身に付ければ企業にとっても魅力的な人材になります。

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